畳店(畳替え工事依頼業者)の選び方


横浜市港北区の畳屋 早川畳店 店主の早川要一です。

私は一人でも多くの人に畳についてもっと知って欲しい、
少しでも受注量が増えればありがたい、と思って当HPを運営してますから
「全て私にお任せください!」と言ってしまえば簡単なんですが
お客様それぞれに事情があるように私にもそれなりの事情があるので
ここでは失敗しないための畳屋さん選びのヒントを提案してみたいと思います。


とにかく安ければ良いとお考えのお客様は
一生懸命情報を集めて価格の安い店を探してください。

でも、チョット待ってください!
畳替えを依頼するということは商品を買うこととは違います。
低価格には必ずそれなりの理由があります。
さらに、安さで誘って高いものを売りつけるという怪しげな話はよくあることです。

畳替えを思い立って、懇意にしている畳店が無い場合、まず
インターネットを含めた様々な方法でいくつかの業者を依頼候補に選んだとしましょう。
この時点でお客様が得ている情報はほとんどが業者側の宣伝です。
「安い」「親切」「安心」「確かな技術」等々
宣伝ですから良いことだけを情報として発信しているはずです。
このような売り手側が発信する情報の信憑性を見極めるのは容易ではありません。

我々は品物とともに技術も売りますが、畳工事は請負契約ですから
お客様は仕上がりを確かめてから頼むことは出来ません。
確かな品物(材料)と確かな加工技術を客観的に判断して
安心して畳替え工事を依頼するためのヒントをまとめてみました。
快適な生活にとって定期的な畳のメンテナンスは必須です。
一方、数ある住宅関連リフォームの中で畳替えはもっとも身近で手軽なもののひとつです。
情報が氾濫する中で、業者選びの一助になれば幸いです。




1.あまり遠方でない畳屋さんに依頼しましょう
普段使われていないお部屋は別ですが、作業は当日仕上げが基本です。
畳の数が多く、作業が複数日にまたがることはあっても
夜、普段お使いの和室に畳が無いという状態は避けたいものです。
近年は様々な事情により現場で作業が出来ないケースが多くなりましたから
お客様の畳を一旦作業場に預かることがほとんどですが
往復時間が長いということは逆に言えば作業時間は短くなります。
また、遠方からの往復はお客様の費用負担の有無にかかわらず
業者側には確実に余分な時間・経費負担となるため
どうしても作業内容に影響が及ぶことは避けられません。

時折ある事例として、畳替えをしていくらも経たないうちに
お客様が不注意で一枚だけ汚してしまったというようなことがあります。
こんなときでも近所の畳屋さんなら嫌がらずにすぐ来てくれるでしょう。
アフターサービスを考えても畳屋さんはあまり遠方でないほうが安心です。


2.実際に畳替えをしたお知り合いに紹介してもらいましょう
畳替え工事は家の中に入っての作業となりますから
どんな人が来るのかあらかじめ少しでも情報がほしいところです。
ホームページ上で紹介されている経歴や顔写真はもちろんですが
お知り合いの紹介ならある程度の安心感が得られるでしょう。
同時に、価格、対応、仕上がり等、具体的な情報も事前に得られます。
地元で長く商売を継続している畳店ならさらに安心かもしれません。
信用を失うのは容易いですが信用を得るのは簡単ではありません。
内情を良く知る地元のお客様(リピーター)がいかに多いかが
その店の信用度を量るひとつのバロメーターとなります。

信頼できる住宅リフォーム関連業者さんに畳替えを依頼するのも
手軽な手段のひとつですが、ほとんどの場合外注下請け工事となりますので
何らかの仲介手数料が生じることを理解しておく必要があります。


3.技術力をわかりやすく客観的に判断するには技能士資格の有無を確認しましょう
どんなに優れた技術を持った畳職人でも、これから畳替えをしようと思っている
初めてのお客様にその技術を理解してもらうのは大変難しいことです。
逆に言えば職人から見れば大した技術力の無い業者でも
知らないお客様に対して技術を売り文句にするのはごく簡単なことです。

職人の技術を客観的に判断する技能検定制度というものがあります。
畳技能士には一級と二級とがありますが、それぞれの受験資格には定められた経験年数があり
検定試験では技能と知識の両面から職人の資質を総合的に判定されます。
技能士資格を持たないすべての職人がきちんとした仕事が出来ないというわけではありませんが
一級技能士資格は法の下での一人前の職人の最低限の証です。
卓越技能が職人の稼ぎに直結した昔と違い
大した技術力なしに機械任せで商売が成り立つ今の時代にこそ
お客様の選択基準としての技能士資格の有無が益々重要になっていると考えます。
一級技能士であれば縫着機械が普及した現在でも
機械に頼らず機械を使いこなす職人としての下地がきちんと出来ていると言うことが出来ます。
ただし、一級技能士の称号はあくまで個人のスキルを証明するものであり
「一級技能士の店」といっても自らが作業にかかわらない業者もあります。
実際に作業に関わる職人の資格の有無はきちんと確認しましょう。
また、本当は無資格なのに単に宣伝文句としてアピールするのは簡単です。
技能士試験に合格した人は必ず合格証書を所持しています。
合格証書は常時携帯するには大きすぎるので、携帯が必要と考える人は
技能士カードもしくは技能士手帳を申請・発行してもらい所持しています。
一級技能士を宣伝材料として大々的にアピールするのであれば
せめてそれらに記載されている技能士番号くらいは明示すべきだと思います。



4.価格に見合った確かな品物(材料)かどうか確認しましょう
畳替え工事を依頼される場合は事前に材料見本を確認することをお勧めします。
ときどき「どうせ素人が見てもわからないから・・」などとおっしゃるお客様がいらっしゃいますが
決してそんなことはありません。
きちんとした説明と共に
実際使う材料を見比べれば品質の良し悪しは一目瞭然です。
畳材料のうち、特に畳表は値段も含めて多種多様です。
畳屋さんによって品揃えはまちまちですが
ランク間の価格差があまりにも大きいときは要注意!
極端に少ない選択肢は予期しない高額出費になりかねません。
また、国産畳表にこだわる場合は施工業者の説明はもちろん
疑わしいときは畳表そのものに添付された
生産者の証明を確認しましょう。


5.対応力も大切なポイントです
畳のことは畳屋さんに任せておけば間違いない!、確かにある意味その通りなのですが
昔ほど畳に対する認識が深くないお客様が多いのもまた事実のようです。
わからないことや疑問に感じたことは積極的に質問しましょう。
様々な情報がネット上に流れている時代ですから、新製品や新素材について
にわか知識としてお客様のほうが良く知っているなどということも無いわけではありませんが
経験や実績に基づいた技術と知識の蓄積がそれぞれの畳店にはあります。
その蓄積したものがお客様の実情に則した情報として提供され
適切な説明を受けられることが安心して仕事を頼める一因となります。
中には営業専門の人間が見積もり等に訪れる畳屋さんもあります。
職人経験のない営業職の人は弁は立ちますが知識は表面的です。
彼らは歩合制のことが多いため注文さえ取れれば後は関知しません。
耳触りの良い言葉だけを鵜呑みにして肝心なことが欠落しては意味がありません。
作業内容にかかわる具体的な話が知りたいときは
あらかじめ、実際施工に関わる職人の話を聞くことをお勧めします。


6.事業所規模と畳組合について
畳替えの依頼先を選ぶにあたって、小さな事業所より大きな事業所のほうが
お客様にとって一見安心感を受けるイメージがあるかもしれませんが
昔と違い、機械が普及した近年は一人前の職人が多数在籍する大規模事業所は稀で
大量受注、大量生産を行う事業所は運搬専門、特定の機械操作専門など
アルバイト作業員を含む分業化を行っているところがほとんどです。
お客様とのやり取りは人当たりの良い営業担当者が行い
畳替え作業に全く携わらない作業員が引き取りや納品を行い
現場の状況を全く見ていない作業員が流れ作業で畳替え作業を行う
ということになりがちです。

特に個人住宅が対象の場合、分業化された大規模経営より
職人自らがすべての仕事に関わり、すべての仕事に責任を持ったほうが
個々の現場に適切に対応した仕事ができ、お客様は安心と良い仕上がりを得られます。
それゆえ、畳店は大多数が地域密着型の個人経営の事業所です。

一方で、規模の小さな畳店は地域ごとに同業者組合を組織することで
情報交換、技術交流、福利厚生、資材の共同購入などの事業を展開しています。
さらに日々の事業系ごみ(産業廃棄物)の収集や
賠償責任やPLなど、万が一に備えての独自の保険制度などを
それぞれの関連機関や事業者と連携して行っています。
これらの事業はお客様が安心して仕事を頼める一因となります。

畳工事依頼業者選びに際して地元の組合に加入しているか否かを
選択基準のひとつにするのは決して意味のないことではありません。



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