畳のお手入れについて

まず、新しい畳の手入れですが、新しい畳表には、染土という青白い粉がついています。
これは先人の知恵で、い草の保護、均一な乾燥、艶だし等のために
い草の生産者が刈り取ったい草を泥染めして粉を吹いたものです。
天然の土ですから合成着色料等を使っていない限り基本的に人体に害はありませんが
このままでは衣類や家財道具を汚してしまいます。
当店では施工時に一度拭き取りを行っていますが多少残ることがあります。
新しい畳がお部屋に敷かれたら、使用する前に一度掃除機を掛けてから
畳の目に沿って乾いたタオルで少し力を入れて拭いてください。
こうすることで、青みを増し、艶が出ます。
日常的な雑きんがけは避け、掃除機は畳の目に沿って、力を入れずにかけてください。

昔は、大掃除の時に畳を庭に出して埃をたたき、日に干したものです。
最近は、干す場所がなかったり、大きな家具が多い為、なかなか畳を外に出すことが
出来なくなっています。 そこで、いい方法を一つ!
荷物が載っていない畳の片側を、目打ちやドライバーなどを使って20センチほど持ち上げ、
空缶などをつっかえに挿んでください。 こうすると、畳の裏と床板に風を当てることが出来、
余計な湿気を追い出すことが出来ます。 この時、扇風機で風を送ってやると、一層効果的です。

カビやダニの発生原因は温度と湿度です。
人間が生活する環境からカビやダニを絶滅させることは出来ません。
発生を抑えるには、こまめな掃除と乾燥が一番有効です。
もし、発生してしまったら、むやみに薬剤を使わず、まず日干し等の湿気対策をしてください。

カビの場合はいきなり拭き取ると、変色の原因になるので、
まず乾燥させた後(例えば、ドライヤーを少し遠めに当てると効果的)、
掃除機で吸い取りながらたわしのようなブラシでカビを掃き取り、
最後に除菌のため消毒用アルコール(エタノール)を霧吹きでうっすらと吹きかけてください。
霧吹きがなければエタノールを含ませたタオルで拭いていただいてもOKです。

ダニの場合は、天日乾燥で駆除できれば一番良いのですが、
殺虫剤を使う場合は人体に影響の無いよう、十分注意が必要です。
また、近年はフォームポリスチレンを使用した畳床が普及していますから
畳床の材質が分からない場合は畳に針を差し込んで散布する有機溶剤系の
殺虫剤は使用しないのが無難です。(フォームポリスチレンが溶解してしまいます)

一度カビやダニを駆除できても、同じ環境に畳を戻せば、また発生する可能性が大です。
ダニやカビの胞子は人の目に触れないところに必ず潜んでいます。
これらを増殖させないためには増殖する環境を与えないことが一番です。
冬の暖房でさえダニの原因といわれます。
縁の下の湿気がひどい場合は、床下換気扇や乾燥剤の散布、土間コン打ちなどをお勧めします。
畳に発生するカビは基本的に健康な人体には無害とされていますが
カビが発生する環境はダニの増殖もしやすい環境と言えます。
気密性の高い最近の住宅において、カビは畳が新しい時ほど発生のリスクがありますので
特に梅雨時から夏場にかけてはエアコンをうまく使うなど湿度管理にご注意ください。
また、畳の上にカーペットを敷くと、ダニの発生率が何倍にもなるという実験結果があります。
畳の上の敷物はなるべく避け、もし敷いた場合は週に一度ははがして掃除、敷物を天日干ししましょう。

湿度の高いお部屋で畳につくカビやダニを防ぐために
弊社では畳替え施工時に畳表の抗菌、抗カビ処理を承っております。
人体に無害な液剤を畳表に浸透、乾燥させて行うものですが
畳や畳表の下に挟んで使う炭や樹液、薬剤等を含ませた機能シートより
安価でより効果的だと考えています。
機能シートはお客様の強いご要望や特別な事情がある場合に限り使用します。
いずれにせよこれらの防カビ、防ダニ対策に絶対大丈夫という保証は付きません。
あくまで基本はお客様それぞれの管理次第ということですのでご承知おきください。


定期的な畳替え(畳のメンテナンス)は快適な生活のために必要不可欠なものです。
そういった認識が周知されていないためか
昔に比べ、畳替えのサイクルが徐々に長くなり、中には
「畳って定期的に張り替えなきゃいけないものなの?」
なんておっしゃる方もいるほどです。
様々な機能性を持つ畳もメンテナンスを怠るとその機能を十分に発揮できません。
畳工事完了時にお客様から
「畳って何年くらいサイクルで張り替えたらいいの?」
と聞かれることがしばしばありますので
最後に畳替えサイクルのおすすめ目安を書いておきます。

・裏返し・・・新畳または表替え施工から3〜4年
表面が傷んでしまったり長期間経過してイグサ自体が弱ってしまうと裏返しはできません まだ綺麗だからもったいないくらいが裏返しの適期です

・表替え・・・前回畳工事から5〜6年もしくは表面が傷んでしまった場合

・新畳入れ替え・・・畳床が傷んでしまった場合
踏んだ感触がブカブカする、表面が凸凹している、大きな隙間ができている等が目安となります
 

上記はあくまで目安です
畳の痛み方はお客様の使い方、材料の品質、湿度等のお部屋環境等によって大きく左右されます

家財道具が大きかったり多くて片付けるのが面倒と考える前に
畳の状態が気になったらまずご相談ください
畳替えをすれば普段動かすことのない箪笥等の裏にたまったほこりもすっかり取れます
畳替えをすればお部屋の大掃除にもなります

定期的に畳替えをして健康的で快適な暮らしを!